今日は、私がとても感銘を受けた本を紹介します。
こんにちは。よこや農園のあすかです。
この本、私も勧められて読んだのですが、本当によかったのでこうしてブログでも紹介したいと思います。
さて、この本は
ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~
というタイトルどおり、「人を手段化せず、大切にしたい、その仕組みをつくりたい」ということが書かれています。
著者である影山さんは、東京西国分寺にあるクルミドコーヒーの店主の方です。
とても人気のあるカフェで、
わたしもこの本を読んで実際に行ってみたのですが、本当にとても素敵な場所でした。
この本のすごいところは、
「働く人を大切にした方がいいよね」とか「長く続いているものはすごいな」とか「今の世の中は便利なんだけどなんか疲れる」とか
みんながなんとなく感じているけどどうしたらいいのかわからないことを、理由もつけて言語化しているところだと思います。
整理して言葉にしてくれてあるから腑に落ちるというか、なんとなく感じていることが実感に変わる感じがすごくありました。
そして、人を大切にして、温かい経済をつくるために
「働く人や関わる人を大切にする仕組み」や「いいものを大事にするための仕組み」、「消費ではなく贈りあう関係を育てる仕組み」を実際につくることに挑戦し、
それなりの成果をだされています。(すごい!!)
成果というのは、利益や客数といった数字で表せるものがでているのです。
(クルミドコーヒーの売り上げは年々伸びていて、2013年には「食べログ」(カフェ部門)で1位になったそうです。)
わたしが本を読んでざくっとまとめたものはこんな感じ↓
一見、競争社会を否定し、少ない消費で少ない収入でも幸せを追求するといった考え方にもみえますが、そうではなくて、
日本をここまで便利にした現在の効率重視の経済を肯定したうえで、
「こんなやり方もあるよ」と方法を示してくれているのです。
ああそうだなと思うことがたくさんあって書ききれないので、ちょっと気になったらぜひ本を読んでほしいのですが、
ここではひとつだけ。
本の中で、クルミドコーヒーがポイントカードやをやらない理由が書かれているのですが、それはわたしたちの中にある“消費者的な人格”を刺激したくないためだそうです。
“消費者的な人格”というのは、同じお金を払うなら最大限価値を受取ろうとする感覚のことで、
例えばスーパーで安売りの商品を安さを理由に買ったり、食べ放題のお店で必要とする以上のものを食べようとしてしまう感覚のことをさします。
この消費者的な人格は誰の中にもあって、あるスイッチ(例えば10%オフのチラシとか)で入ってしまうものじゃないかと影山さんは言っています。
クルミドコーヒーは消費者的な人格、つまりテイクから入る関係ではなく、その反対の“受贈者的な人格”言い換えるとギブから入る関係を育てたいためポイントカードをやっていないのだそうです。
(ちょっと難しいですね、、ぜひ本を読んでください。。)
このことを読んで、私も宿で実践していることがあります。
まず、お金をチェックインの時にもらうことにしました。
最初はチェックアウトの時にもらっていたのですが、そうすると、このサービスでこの金額か、、○○だなとお客さんの頭の中でなってしまい、最後のタイミングで消費者的な人格を刺激してしまうことになっていると思ったからです。
(これは宿をやっている方みんなにおすすめしたいです。)
次に、お部屋の中でジュースやシャムを値札をつけて売るのもやめました。
ゆっくりくつろぐ場所であるはずのお部屋に、これまた消費者的な人格を持ち込ませることになってしまうからです。
エアビーアンドビーで、値切ってくる方が稀にいるのですが、それは丁寧にお断りします。
アンケートを置いたこともあったのですが、こちらもやめました。
これは、本当にいいと思ったら口コミで書いてもらえればよくて、お客さんの貴重な時間をもらってまで滞在中にしてもらうことではないかなと思ったのもあります。
よこや農園の、少なくても宿では、お金のためではなく、純粋にお客さんが来てくれて、喜んでくれるのが嬉しいのでやっているし、そうありたいと思っているので、この本のやり方が合っているなと感じます。
来年オープン予定のカフェも、この本にあることを参考にした考え方でやってみたいなと思っています。
そして、そう思うためには、自分自身が無理をしていなくて、楽しめないとできないということも実感します。
なので、一週間あたりのお客さんの数も制限しているし、年末年始などはお休みにします。(今わたしが一番優先しているのは家族だからです)
前向きに迎えられる気持ち(受贈者的な人格)を自分が持ち続けることができる工夫が、なによりも大事なのかもと最近では思います。
それがサービスの向上にもつながってお客さんも嬉しいのだと信じています。